BRANU (460A)12/1上場

IPO企業分析

建設の現場は、日々の工事だけでなく、人材、見積、採用、情報の整理など「細かい作業」が積み重なって成り立っています。
BRANUは、建設業界の中でももっとも分散した中小企業領域にITサービスを届ける企業です。日々の“地味だけれど欠かせない部分”をまとめてデジタル化し、企業に毎日積み重なる小さな改善を提供しています。

利益を生み出す“仕組み”

BRANUの収益の中心は、建設中小企業向けの統合型SaaS「CAREECON Plus」です。
重要なのは、一度導入すると辞めにくい構造になっている点です。

具体的には:

  • 顧客獲得・採用・施工管理・経営管理をひとつの道具に集約
     → バラバラの管理がなくなるので、途中だけ別のツールに変えると逆に手間が増える

  • オウンドメディア構築とSaaSが連動するため、継続利用しやすい
     → Web集客・採用の導線そのものが「CAREECON Plus」に依存

  • カスタマーサクセスによる“伴走支援”が前提
     → IT人材が不足する建設企業にとって、支援込みで初めて使いこなせる

これは「仕組みを使い始めるほど元に戻しづらくなる家計簿アプリ」に近い構造です。
SaaSの継続率の源泉がプロダクト単体ではなく“使い続けやすさ”にあるのが特徴です。


業績を支えるファクトデータ

(出典:Iの部・訂正届出書・会社概要)

■ ストック型契約 2,742社(2025年7月末時点)

=「毎月の固定収入の母集団」がすでに大きい。

■ CAREECON登録ユーザー 4,785ユーザー

=マッチング経由で顧客接点が生まれ続け、営業源泉になる。

■ CAREECON月間PV:230,418PV

=施工事例・案件投稿が多く、利用動線が習慣化している可能性。

■ Standardプランが2023/9開始→以降順調に増加

=単価の高い本命プランへの移行が起きており、導入価値が定着しつつある。

■ 建設業特化の人材サービス「キャリコンジョブ」ローンチ

=SaaSの利用動線から採用サービスへの連携が可能で、クロスセル余地あり。


因果関係

BRANUが“入り口を押さえやすい”理由は 建設業という産業構造そのもの にあります。

外部要因

  • 中小建設企業は全国に約48万社と分散

  • IT人材が不足しており、ツール導入の自走が難しい

  • 既存ツールは機能単体型が多く、業務横断の動線が分断

  • 元請・下請構造により情報共有コストが高いため、デジタル化のメリットが大きい

内部構造

  • 自社CMS・採用・施工・経営管理をまとめた「All in One型」

  • カスタマーサクセスの伴走により、“使わざるを得ない習慣”を企業に根づかせる

  • 既に2,700社超の利用データが蓄積 → 機械学習的な改善がしやすい

結果として「導入した企業は、辞める理由より続ける理由の方が多い」という構造が生まれている
これがストック型収益の安定性の源泉です。


競合構造(同業×代替)

■同業構造

  • 「単機能型SaaS」
     例:施工管理だけ/採用だけ
     → 部分最適。BRANUは全工程を一体化しているので“のりしろ効果”が高い

  • 「プラットフォーム非連動型」
     → Web集客(オウンドメディア)とSaaSが切り離れている

■代替(BRANUを使わない選択肢)

  • 内製化(自前でWeb制作+表計算管理)
     → IT人材が少ない企業には現実的に維持困難

  • 汎用ツールの寄せ集め(表計算+ストレージ+SNS)
     → 情報が点在し、施工現場〜採用〜見積管理の連動ができない

■条件別の優位性

  • 業務を一本化したい企業 → BRANUが残りやすい構造

  • 既に高度な社内IT体制がある企業 → 汎用ツールで代替可能


IPO需給構造(浮動株・ロックアップ・株主構成)

■ 公募・売出

  • 公募:500,000株

  • 売出:630,000株(すべて代表・名富氏)

  • OA:169,500株
    合計:1,299,500株

■ 発行済株式

  • 上場時:4,500,000株

■ 浮動株比率(需給の軽さを示す)

(公開株数 1,299,500 ÷ 上場時株数 4,500,000)
約28.9%
→ 3割弱が市場に放出される設計。

■ 大株主(CG報告書より)

  • 名富達也:53.5%

  • 株式会社名富:45.0%
    合計:98.5%が実質オーナー支配

極めて不動株が厚い構造

■ ロックアップ

(訂正有価証券届出書の該当ページより)

  • 主要株主(名富氏・株式会社名富)に対し 上場後180日 のロックアップ

  • VC不在

  • 解除条項:公開価格の1.5倍等の特別条項 記載なし

■ 需給の意味

  • 不動株が厚く、ロックアップ対象がほぼ全株主=短期の売り圧力は限定的

  • 一方、公募+売出が3割弱 → 初期流動性は十分にあるがやや軽め

=初期は値動きが振れやすく、解除イベント(180日後)で売却可能性が一段階生まれる構造。


仮条件レンジから見るPER

  • 仮条件:930〜980円
  • EPS(2024/10期):16.37円

■ PER

  • 仮条件下限:930 ÷ 16.37 ≒ 56.8倍

  • 仮条件上限:980 ÷ 16.37 ≒ 59.8倍

同業SaaSの平均(20〜40倍)より明確に高い。
「成長ストーリーに対してプレミアムを要求する価格帯」 と読める。

■ 吸収金額

(公募500k+売出630k+OA169.5k) × 仮条件上限980円
約12.74億円

■ 公開時時価総額

4.5M株 × 980円
約44.1億円

■ 市場吸収率

12.74億 ÷ 44.1億 ≒ 28.9%

= 上場時としてはやや大きめの吸収率。

■ 主幹事スタンス

  • 想定930円に対して上限980円(+5.4%)
    強気ではなく中立寄り
    (直近IPOの地合いを踏まえて“攻めすぎない”設定)


EPSから見たPER帯別の株価

(公開価格未定のため構造だけ整理)

  • 計算式:株価=EPS × PER帯

  • PER帯:20倍/30倍/40倍/60倍

  • EPS:16.37円

例)

  • 30倍 → 491円

  • 60倍 → 982円

※これは「予想」ではなく、
“この企業がどの成長率・どの評価帯にいると市場が見なすか”によって到達し得る領域 を示す計算値です。


企業の重要指標

  • CAREECON Plusの契約社数(Standard/mini)
     → SaaSのストック収益の源泉

  • 継続率(解約率)
     → ストック収益の「天井」を決める

  • GMV(CAREECON受発注総額)
     → マッチングの活性度、媒体価値の指標

  • 営業人員数・営業生産性
     → 顧客数拡大ペースを左右

  • ロックアップ解除イベント(上場+180日)
     → 需給変化が生じるタイミング

  • AI機能の実装進捗
     → All-in-One Slerの差別化要因


関連用語集

  • ストック型収益:継続課金で積み上がる収入

  • フロー収益:一度きりの売上

  • GMV:取引総額

  • アップセル:下位プランから上位プランに誘導すること

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