PRONI株式会社(479A)12/24上場

IPO企業分析

総合評価ランク

C
★★☆☆☆
幹事構成
大和証券主幹事
SBI証券
みずほ証券
楽天証券
仮条件
1,730〜1,750円
BB期間
12/9(火)〜12/15(月)
上場市場
東証グロース
上場日
12/24(水)
一口メモ
BtoB受発注プラットフォーム。60万件のマッチング実績、年率30%成長と魅力的。営業赤字が続いてきたが、今期3四半期時点での黒字化を達成。PSR3.47倍はやや割安も、吸収率45%、売出85%とVC主体の需給悪いため、公募割れの懸念あり。

企業概要

基本情報

項目 内容
会社名 PRONI株式会社(旧社名:株式会社ユニラボ)
英訳名 PRONI Inc.
証券コード 479A
設立年月日 2012年10月1日
本社所在地 東京都品川区東五反田三丁目20番14号
代表者 代表取締役CEO 柴田 大介
従業員数 86名(2024年12月31日時点、臨時雇用者69名)
上場予定日 2025年12月24日(水)
市場区分 東証グロース市場
主幹事証券 大和証券株式会社

事業内容

PRONI株式会社は、BtoB(企業間取引)に特化した受発注プラットフォーム「PRONIアイミツ」を運営しています。中小企業が抱える「誰に頼めばよいかわからない」「最適なIT製品・サービスを選べない」という発注課題を、データとコンシェルジュの力で解決します。

企業理念:

  • 「日本の労働生産性を上げ、日本経済を飛躍的に向上させること」

ビジョン:

  • 「受発注を変革するインフラを創る」

主要サービス

  • PRONIアイミツ:128カテゴリ、15万社以上の企業を比較できる日本最大級のBtoB受発注プラットフォーム(2014年開始)
  • PRONIアイミツSaaS:DX推進に必要なSaaS製品のマッチング特化サービス
  • 「最強ナビ」シリーズ:AI、業界DX、人事DXなど特定領域に特化したナビゲーションサービス
  • ITランキング:実データ基盤の多軸評価型SaaSランキング

サービス実績(会社ホームページより):

  • 累積60万件以上のマッチング実績
  • 月間170万PV、毎月3,000件以上の案件発生
  • コンシェルジュによる発注サポート(最短翌日で最適なプロを紹介)
  • 累計会員登録数No.1、マッチング数No.1、対応スピードNo.1(2023年9月期調査)

業績推移(有価証券届出書より)

項目 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期
売上高 1,217百万円 1,684百万円 2,198百万円
営業利益 △622百万円 △725百万円 △312百万円
経常利益 △622百万円 △727百万円 △383百万円
当期純利益 △624百万円 △730百万円 △270百万円
EPS(円) △150.96円 △176.66円 △65.45円

成長率(実績)

  • 2023年: 売上高+38.4%(営業赤字幅拡大)
  • 2024年: 売上高+30.5%(営業赤字幅縮小)

重要な注意点

  • 2024年12月期まで営業赤字が継続しており、当期純損失も継続
  • 設立から13期目の段階で、まだ収益化には至っていない
  • 有価証券届出書には2025年以降の業績予想は記載されていない

ビジネスモデル分析

収益構造の特徴

PRONIのビジネスモデルは、「発注企業(買い手)と受注企業(売り手)をマッチングし、受注企業から成果報酬を得る」 という構造です。

① マッチング成立時の成果報酬 発注企業がPRONIアイミツ経由で受注企業を見つけ、契約が成立すると、受注企業がPRONIに成果報酬を支払います。この報酬は、受注金額の一定割合で構成されます(具体的な料率は非公表)。

② リピート発注による収益の再発生 一度PRONIアイミツで良いプロを見つけた発注企業は、次の案件でも再びプラットフォームを利用します。また、受注企業も継続的に案件を受注できるため、双方にとって使い続ける動機が生まれます。

③ 受注企業ARPUの積み上がり可能性 受注企業ARPU(Average Revenue Per User:一受注企業当たりの平均売上高)は、「一受注企業当たりのマッチング成立数 × マッチング単価」で構成されます。プラットフォームが成長すれば、既存受注企業からの収益が積み上がる構造になります。

④ ネットワーク効果による囲い込み プラットフォームには「利用者が増えるほど、マッチング精度が上がり、さらに利用者が増える」というネットワーク効果が働きます。PRONIアイミツは累積60万件以上のマッチング実績を持ち、このデータがマッチング精度を高める資産として機能しています。

業績を示すデータ

以下の数字から、PRONIの事業がどれだけ「積み上がり」「再発生」しているかを確認します。

① 累積マッチング実績:60万件以上

意味:これまでに60万件の企業間マッチングを実現してきたという実績。過去のマッチングデータがAIやコンシェルジュの精度向上に寄与し、競合が追いつきにくい資産になっている。

② 月間PV:170万PV、月間案件発生数:3,000件以上

意味:毎月170万回閲覧され、3,000件以上の新規案件が発生している。これは「使われ続けているプラットフォーム」であることの証明。

③ 売上成長率:2023年 +38.4%、2024年 +30.5%

意味:売上が毎年30%以上成長している。この成長は「新規顧客の獲得」と「既存顧客からの収益増」の両方で支えられている。

④ 営業赤字幅の縮小:2023年 △725百万円 → 2024年 △312百万円

意味:営業赤字幅が前年比56.9%縮小。まだ赤字ではあるが、収益性が改善傾向にあることを示す。売上高営業利益率は△14.2%(2024年)で、赤字幅が売上の14.2%まで縮小している。

⑤ 登録企業数:15万社以上

意味:受注側の企業が15万社以上登録している。これは「選択肢の豊富さ」を意味し、発注企業にとっての魅力を高める。

要因分析

外部要因:政策、業界慣行、競争構造

① 政策・社会的要請:DX推進の強まり
日本政府は「デジタル田園都市国家構想」などを通じて、中小企業のDX推進を強力に後押ししています。また、労働人口減少による生産性向上の必要性が高まっており、企業がDXツールや外部プロを活用する動きが加速しています。

② 業界慣行:中小企業の「発注力」不足
日本の中小企業は、「誰に頼めばいいかわからない」「IT製品・サービスの選び方がわからない」という課題を長年抱えてきました。従来は口コミや知人紹介に頼っていましたが、デジタル化の進展により、プラットフォーム経由での発注が一般化しつつあります。

③ 競争構造:「比較サイト×コンシェルジュ」のハイブリッド型が差別化
BtoB領域の比較サイトは複数存在しますが(EMEAO!、ミツモア、Web幹事など)、PRONIは「データドリブンな比較機能」と「コンシェルジュによる人的サポート」を組み合わせた点で差別化しています。これは「迷わないIT選び」を実現する独自の強みです。

内部要因:設計、囲い込み、販売経路、固定費構造

① プラットフォーム設計:成果報酬型で発注企業の負担ゼロ
発注企業(買い手)は無料で利用でき、成約時に受注企業(売り手)のみが手数料を支払う仕組み。これにより、発注企業は気軽に利用でき、利用者数が増えやすい構造になっています。

② データ資産による囲い込み:60万件のマッチング実績
過去60万件のマッチングデータは、AIやコンシェルジュのマッチング精度を高める資産として機能します。後発プラットフォームはこのデータ量で追いつくことが難しく、先行者優位が働きます。

③ コンシェルジュの存在:機械だけでは解決しない「発注の悩み」に対応
BtoB案件は、要件が複雑で標準化しにくいため、完全自動化が困難です。PRONIはコンシェルジュが発注企業の要望をヒアリングし、最適なプロを紹介することで、高い成約率を実現しています。

④ 固定費構造:人件費と広告費が主要コスト
PRONIの主な固定費は、コンシェルジュや開発エンジニアの人件費、および発注企業獲得のための広告費です。売上が増えるほど、これらの固定費比率が下がり、利益率が改善する構造です(ただし現時点ではまだ営業赤字)。

競合分析

他のBtoB比較サイトとの違い

比較軸 PRONI EMEAO! ミツモア Web幹事
カテゴリ数 128 400以上 幅広い Web制作特化
登録企業数 15万社以上 非公開 非公開 非公開
マッチング実績 60万件以上 非公開 非公開 非公開
コンシェルジュ あり あり なし(自動) あり
月間PV 170万 非公開 非公開 非公開

PRONIの優位性

  • 累積マッチング60万件という圧倒的な実績
  • コンシェルジュとデータの両立による高いマッチング精度
  • DX・SaaS特化のサービス展開により、成長市場を捉えている

リスク

  • カテゴリ数ではEMEAO!に劣る(128 vs 400以上)
  • 完全自動化型のミツモアなど、低コスト運営の競合も存在

プラットフォームを使わない発注行動

① 既存の取引先に依頼 発注企業が既に取引のある企業に依頼する。これは「信頼関係がある」「手間がかからない」という理由で選ばれますが、「最適な選択ではない可能性」があります。

② 自社で探す(Googleなど) Googleで検索して自力で企業を探す。これは「自由度が高い」一方、「比較検討の手間が大きい」「情報の信頼性が不明」というデメリットがあります。

③ 知人紹介・口コミ 知人や同業者からの紹介。これは「信頼性が高い」一方、「選択肢が限られる」「紹介してもらえないと始まらない」という制約があります。

結論:条件分岐で考える

  • 「既存取引先で十分」「自社で探す時間がある」→ PRONIを使わない
  • 「最適なプロを効率的に見つけたい」「比較検討の手間を減らしたい」→ PRONIを使う

PRONIが勝つ条件は、「発注企業が『最適な選択をしたい』という意識を持っているか」 です。DX推進の流れにより、この意識は高まっています。


IPO需給構造

公募・売出・OAの内訳

項目 株数 比率
公募(新株発行) 250,000株 14.5%
売出(既存株主からの売却) 1,479,300株 85.5%
公募+売出合計 1,729,300株 100.0%
オーバーアロットメント(OA) 259,300株

意味

  • 公募250,000株:新規発行により、会社に資金が入る(手取金約4.25億円)
  • 売出1,479,300株:既存株主(VC中心)が持ち株を売却。会社には資金は入らない
  • OA259,300株:需要が強い場合に追加で売り出す株(上限)

浮動株と既存株主保有の割合

上場時発行済株式総数: 4,382,560株(公募分250,000株を含む)

項目 株数 比率
上場時発行済株式総数 4,382,560株 100.0%
公募+売出(OA除く) 1,729,300株 39.5%
OA(最大) 259,300株 5.9%
浮動株(OA全て実施の場合) 1,988,600株 45.4%
既存株主保有(ロックアップ対象含む) 2,393,960株 54.6%

意味

  • 浮動株比率45.4%:上場時の流通株が約半分を占める。グロース市場としては標準的な水準。
  • 既存株主保有54.6%:VCや創業者などが半分以上を保有。

ロックアップ条項

対象者

  • 売出人である既存株主(VCファンド、代表取締役CEO柴田大介氏、栗山規夫氏など20名)
  • 新株予約権者(役員・従業員)

ロックアップ期間:上場日(2025年12月24日)から180日後の2026年6月21日まで

ロックアップ内容

  • 主幹事会社(大和証券)の事前の書面による同意なしに、当社株式の売却等を行わない
  • ただし、引受人の買取引受による売出し、OAのための貸株、グリーンシューオプション行使は除外

会社側のロックアップ

  • 当社も主幹事会社に対し、ロックアップ期間中は主幹事会社の事前の書面による同意なしに、当社株式の発行、転換社債等の発行を行わない旨合意

主幹事の裁量権

  • 主幹事会社はロックアップ期間中であってもその裁量で当該合意の内容を一部若しくは全部につき解除できる権限を有する

評価: 標準的な180日間のロックアップが設定されており、上場後180日間(約6ヶ月間)は大株主からの大量売却リスクが抑制されます。ただし、主幹事の裁量で解除される可能性もあるため、解除のアナウンスには注意が必要です。

短期の需給バランスに及ぼす意味

① 公募比率14.5%、売出比率85.5% 公募(新株発行)が少なく、売出(既存株主の売却)が多い構成。これは「既存株主(VC)が資金回収を行っている」ことを示します。会社への資金流入は約4.25億円と限定的です。

② 吸収金額約34.6億円(仮条件平均1,740円で計算) 上場時の時価総額約76.3億円に対して、吸収金額34.6億円は45.4%と高い比率です。これは「市場からの資金吸収が大きい」ことを意味し、需給面では売り圧力となります。

③ ロックアップ180日間 上場後180日間は大株主からの売り圧力が抑制されるため、需給は比較的安定しやすい。ただし、ロックアップ解除後(2026年6月21日以降)は売り圧力が強まる可能性があります。

④ OA259,300株(公募+売出の15.0%) 需要が強い場合、OAとして最大259,300株が追加で売り出されます。これは初値形成時の売り圧力となります。

総合評価: 需給面では「やや売り圧力が強い」構造です。公募比率が低く、吸収金額が大きいため、初値は公開価格を大きく上回りにくい可能性があります。ただし、グロース市場の成長期待が高ければ、需要が吸収金額を上回る可能性もあります。

仮条件レンジ分析

仮条件と基本データ

項目 下限(1,730円) 上限(1,750円) 仮条件平均(1,740円)
想定発行価格(円) 1,730 1,750 1,740
上場時発行済株式総数(株) 4,382,560 4,382,560 4,382,560
公開時時価総額(億円) 75.8 76.7 76.3
吸収金額(公募+売出、億円) 29.9 30.3 30.1
吸収金額(OA含む、億円) 34.4 34.8 34.6
市場吸収率(%) 45.4% 45.4% 45.4%

※市場吸収率 = 吸収金額(OA含む) ÷ 公開時時価総額

PSR(株価売上高倍率)分析

PSR = 時価総額 ÷ 年間売上高

項目 仮条件平均1,740円
公開時時価総額 76.3億円
2024年12月期売上高 21.98億円
PSR(2024年実績ベース) 3.47倍

計算の詳細

  • 時価総額:4,382,560株 × 1,740円 = 76.26億円
  • 売上高:2,197,804千円 = 21.98億円
  • PSR:76.26億円 ÷ 21.98億円 = 3.47倍

業界平均PSRとの比較

  • SaaS・プラットフォーム企業の平均PSR:5~10倍(成長期)
  • 既上場のマッチングプラットフォーム企業:3~8倍程度

評価

  • PSR 3.47倍(2024年実績ベース)は、SaaS・プラットフォーム企業としてはやや割安~標準的な水準です
  • ただし、当期純利益がマイナスであるため、「成長性は高いが収益性はまだ確立していない」段階であることに注意が必要です
  • 売上成長率が年率30%以上を維持していることから、成長性は評価されていると言えます

市場吸収率

市場吸収率 = 吸収金額(OA含む) ÷ 公開時時価総額

仮条件平均1,740円での市場吸収率は**45.4%**です。

評価

  • 市場吸収率45.4%は高い水準です(一般的に20~30%程度が標準)
  • これは「上場時に時価総額の約半分が市場から吸収される」ことを意味し、需給面では売り圧力となります
  • IPO初値が公開価格を大きく上回りにくい要因となります

主幹事の仮条件設定スタンス

仮条件:1,730円~1,750円(レンジ幅20円、1.2%)

評価

  • 仮条件のレンジ幅が非常に狭い(1.2%)ことから、主幹事(大和証券)は慎重な価格設定を行っていると判断できます
  • これは「市場の需要を慎重に見極めている」または「高値掴みリスクを避けたい」という姿勢の表れです
  • PSR 3.47倍という水準は、成長性を評価しつつも、収益性未確立というリスクを織り込んだ価格帯と考えられます

リスク要因

① 収益性未確立リスク

2024年12月期まで営業赤字が継続しており、黒字転換の時期は不明です。黒字転換が大幅に遅れる場合、株価は大きく下落する可能性があります。

② 競合激化リスク

BtoB比較サイト・マッチングプラットフォームは参入障壁が比較的低く、競合の台頭により市場シェアを奪われるリスクがあります。

③ DX需要の変動リスク

PRONIの成長はDX市場の拡大に依存しています。経済環境の悪化や政策変更により、企業のDX投資が減少すれば、成長率が鈍化する可能性があります。

④ コンシェルジュ依存リスク

マッチング精度の高さはコンシェルジュの人的スキルに依存している部分があり、優秀な人材の確保・育成が課題となります。

⑤ 大株主売却リスク

ロックアップ解除後(2026年6月21日以降)、VCなどの大株主が持ち株を売却する可能性があり、需給悪化による株価下落リスクがあります。

⑥ 市場吸収率の高さ

市場吸収率45.4%は高水準であり、初値が公開価格を大きく上回りにくい構造です。IPO直後の株価は慎重に見極める必要があります。

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