ノースサンド(446A) 11/18上場

IPO企業分析

「カッコいい会社を増やす」。
一見キャッチーだが、ノースサンドのこの言葉には、企業経営の本質を人の“在り方”から変えるという意思が込められている。焦点は人材が価値を再生産する構造にある。

利益を生み続ける構造

ノースサンドの中核は「総合コンサルティング」だが、同社の収益を支えるのは、“人間力 × 再現性”という二軸の仕組み

  • 一般的なコンサル会社が「スキルと経験」で差別化するのに対し、ノースサンドは「カルチャーと人間力」を採用・育成の中心に置く。
  • この人材を核にした成長プロセスを、同社は「ファンづくりサイクル」と呼ぶ。
     採用 → 組織運営 → 顧客支援 → ファン化 → 再受注、の循環が継続的に回る構造。
  • 顧客接点に立つコンサルタントはサービス提供に専念し、営業専任チームが案件開拓を担う分業制。結果、稼働率・単価・顧客継続率がすべて高水準で維持される。

すなわち同社は、「人の魅力そのものを組織的に再現する仕組み」を持つ企業である。
人的資本を自己増殖させる“文化エンジン”が、継続的な利益源となっている。

過去の業績データ

  • 売上高:16,417百万円(2025年1月期)
     =前年比+80%超。2023→2025年CAGRは92.1%
     → 単発案件でなく、顧客数・案件単価・継続契約すべてが伸びている。
  • 営業利益率:7.0%→16.9%(2023→2025)
     =「固定費比率の低下+高単価案件比率の上昇」による構造的改善。
  • 離職率:10%未満を5期連続維持(厚労省平均15.4%比)
     =コンサル業界では異例の安定。
  • 稼働率:創業以来90%以上(公表値)
     =案件需給のバランスを高精度に維持。
  • 平均給与:約685万円/平均年齢31.7歳
     =若年層中心ながら報酬水準はIT中堅企業並。人材定着に有利。

これらの数字が示すのは、「人的資本を中心にした継続的な収益循環」である。

業績構造

外部環境:

  • IDC Japanによると、国内ITサービス市場は2029年まで年平均+6.6%成長、ビジネスコンサル市場も+10%前後の成長見通し。
  • DX・生成AI・クラウド移行が中長期的に需要を下支え。

内部構造:

  • 採用段階から「愛嬌・素直さ・しつこさ」を基準に選抜。
  • 社内文化「8RULES」が従業員行動の共通言語となり、顧客への誠実な対応→信頼→継続契約→高稼働・高単価という正の循環を生む。
  • 営業・案件開拓支援チームがコンサルタントをサポートし、稼働率を安定化。

結果、「理念×組織設計×営業分業」の三層構造が、収益の再現性を担保している。

競合構造(同業 × 代替)

  • 同業分類
     A)スキル特化型(個人能力で単価を取る)
     B)リソース提供型(人数と稼働率で収益を積む)
     C)文化再現型(価値観と行動規範を通じて信頼を蓄積)

ノースサンドは明確にC型。A・B型が単価競争に陥る局面でも、C型は顧客との関係資産で受注を維持できるのが強み。

  • 代替構造
    企業内の「内製化」や「ノーコード・自動化ツール導入」が潜在的な代替。
    ただし同社はNotion導入支援などツール側に寄り添う立場を取っており、代替をリスクではなく“事業転換の機会”として取り込む構造にある。

IPO時の需給構造

区分 株数 コメント
公募 9,000,000株 新規調達、全体の約13%
売出 8,220,000株 役員・資産管理会社中心。経営陣の流通株供給
OA 2,580,000株 安定操作目的。総発行の約15%
合計 19,800,000株 上場後発行済69,000,000株の約29%が市場流通
  • 大株主はグーニーズ(51%→希薄化後支配権低下)と創業陣。
  • ロックアップ期間は上場後180日間、300日間の2パターン。
  • 浮動株比率:約30% → 初期流通量は中庸。需給の偏りによるボラティリティが高め。
  • OA発動条件(2.58百万株)は一般水準で、需給安定の余地あり。

PERから見る株価レンジ

  • EPS(2025/1期)=32.91円
  • 想定PER帯=20〜40倍(グロース市場標準)
PER 理論株価レンジ(円) 条件的意味
20倍 約660円 成長一服時でも維持可能水準
30倍 約990円 市場平均評価ライン
40倍 約1,320円 成長継続時の高評価帯

※これは“条件が成立した場合の算式上の結果”であり、予想ではありません。

業績を評価する際の指標

指標 説明
稼働率 契約継続率と顧客満足度の実体指標。90%維持が成長線。
平均単価 案件の質と市場の受容度を反映。単価上昇は文化浸透の証。
離職率 採用再投資の回収度。低離職率=文化資産の維持。
Notion関連売上比率 ストック型収益化への転換度を測る。

関連用語

  • 8RULES:同社が定める行動指針。
     「素直でいよう」「約束を守ろう」「一歩踏み込もう」「人を想おう」など、
     仕事の型より“人としての姿勢”を重視した8項目。
  • ファンづくりサイクル:採用・育成・顧客支援の連鎖で信頼を積み上げる成長循環。
  • 人間力:愛嬌・素直さ・しつこさを三本柱とする、同社独自の評価軸。

(出典:ノースサンド公式サイト「理念」「カルチャー」ページ、https://northsand.co.jp)

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