総合評価ランク
岩井コスモ証券
岡三証券
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松井証券
丸三証券
極東証券
Jトラストグローバル証券
会社概要・事業内容
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | テラテクノロジー株式会社 |
| 英訳名 | Tera Technology, Inc. |
| 設立 | 1991年2月12日 |
| 本社所在地 | 東京都豊島区東池袋三丁目4番3号 池袋イースト |
| 代表者 | 代表取締役 宮本 一成 |
| 資本金 | 20,000千円 |
| 従業員数 | 367名(2025年9月末時点) |
| 平均年齢 | 32.1歳 |
| 平均勤続年数 | 8.0年 |
| 平均年間給与 | 5,956,533円 |
| 事業内容 | システム開発事業(単一セグメント) |
| ホームページ | https://www.teratech.co.jp/ |
企業理念・ビジョン
経営方針: 「技術とサービスで社会に貢献する」
テラテクノロジーは、創業以来、システム開発のスペシャリスト集団として公共や通信など社会性の高いシステム開発に携わってきました。「開発したシステムを社会で使っていただき、それをもって社会が豊かになることへの貢献につなげる」ことを使命とし、高い技術力と最適なシステムを提供するサービス力を強みとしています。
顧客との信頼関係を重視し、ISO三重認証(ISO 9001品質マネジメント、ISO 14001環境マネジメント、ISO/IEC 27001情報セキュリティ)を取得し、全組織・全部門で品質・環境・セキュリティ管理を徹底しています。
事業内容の詳細
テラテクノロジーは、システム開発事業の単一セグメントで、以下の5つの分野で事業を展開しています。
主要事業分野と特徴:
| 分野 | 2025年3月期売上高 | 構成比 | 主な顧客・内容 |
|---|---|---|---|
| 情報サービス | 1,586百万円 | 36.2% | ECサイト等のデジタルマーケティング分野、マイクロサービス技術、クラウド技術、仮想化技術 |
| 製造その他 | 980百万円 | 22.3% | 自動車業界のEV向け制御システム、最新メーターパネル開発、製造業のIoT技術 |
| 公共 | 736百万円 | 16.8% | 官公庁向け電子申請システム、給付費電子請求受付システム(24時間365日稼働、厳密なセキュリティ対策) |
| 金融 | 549百万円 | 12.5% | 金融機関の基幹システムの運用自動化、クラウドを活用したシステム運用・保守 |
| 通信 | 535百万円 | 12.2% | 大手通信事業者の通信利用者認証システム(3G→4G→5Gへの進化対応、高い安全性と可用性) |
サービス提供範囲: 要件定義 → 設計 → プログラム製造・インフラ構築 → テスト → 保守まで一貫提供
取引形態:
- SIer経由: 70%
- 直接取引: 30%(最終顧客は官公庁、大手企業)
主要取引先(2025年3月期):
- 富士通株式会社: 986百万円(22.5%)
- TIS株式会社: 800百万円(18.2%)
ビジネスモデル分析
収益構造の特徴
テラテクノロジーの収益構造は、高い技術力を武器とした受託開発ビジネスです。以下の4つの強みが利益を生み続ける構造を支えています。
① 社会性の高いシステム開発で培われた技術力
公共分野や通信分野において、政府・地方自治体・大手通信会社のシステム開発を手掛けてきました。これらのシステムは、24時間365日の安定稼働、セキュリティ事故の防止、処理遅延の回避など、極めて高い品質が求められます。
開発実績例:
- 官公庁向け電子申請システム: 24時間365日の高可用性、厳密なセキュリティ対策
- 給付費電子請求受付システム: 暗号化技術、なりすまし防止のための専用認証
- 通信利用者認証システム: 3G→4G→5Gへの進化対応、アクセス負荷を考慮した高い安全性
これらの高難度案件を成功させてきた実績が、大手ITベンダー・SIerからの信頼獲得につながり、継続的な受注を実現しています。
② 継続受注率92.3%の安定性
2025年3月期の継続受注率は92.3%と非常に高く、一度開発したシステムの運用・保守→次期開発という循環が安定経営の大きな要因となっています。この高い継続受注率は、顧客満足度の高さと、システム開発における信頼関係の強さを示しています。
③ 高いプロパー比率による安定的なプロジェクト運営
同社は新卒採用を中心に人材確保を行い、長年の採用活動で蓄積したデータを分析・活用することで、適性の高い人材を獲得しています。平均勤続年数8.0年という数字は、働きやすい職場環境と定着率の高さを示しており、プロパー社員中心の安定したプロジェクト運営を可能にしています。
人材育成の仕組み:
- 資格取得支援・技術研修・部門研修
- ワーキンググループでのビジネス研究
- 全社的な技術発表会
- ヒューマンスキル研修・職階別研修
④ 分野分散によるリスク低減
5つの分野(公共、通信、情報サービス、金融、製造その他)にバランスよく展開することで、特定分野の景気変動リスクを低減しています。例えば、通信分野が縮小傾向でも、情報サービス・金融・製造分野が成長することで、全体として増収を実現しています(2025年3月期:売上高12.1%増)。
成長ドライバー
① DX需要の拡大
顧客企業のデジタル変革(DX)需要が継続的に拡大しています。特に以下の領域で成長が見込まれます:
- 公共分野: デジタル・ガバメント推進による電子申請システムの拡充、法改正対応
- 通信分野: 5Gサービス普及、IoT普及によるモバイルネットワーク需要
- 情報サービス分野: クラウドサービス需要急増、ネット通販市場拡大、SNS新チャネル移行
- 金融分野: RPA本格活用、デジタル化ニーズ拡大、キャッシュレス推進、セキュリティリスク対応
- 製造その他分野: 働き方改革による人材不足対応、AI・ロボット・IoT活用、EV普及・自動運転技術
② 人材増強による売上拡大
中期事業計画(2026年3月期~2028年3月期)では、開発部門従業員数を毎期8%増加させることを目標としています。開発部門の正社員数が売上・利益達成の客観的指標であり、計画通りの人材増強が実現すれば、売上高の継続的な成長が期待できます。
従業員数推移:
- 2024年3月末: 329名
- 2025年3月末: 346名(+5.2%)
- 2025年9月末: 347名(+5.5%)
③ 営業利益率11.6%の高収益体質
2025年3月期の営業利益率は11.6%と、受託開発ビジネスとしては高水準です。社内リソース充実による付加価値の高いサービス提供、トラブルを未然に防ぐ施策の推進により、売上総利益率は23.9%に向上しています。この高収益体質は、技術力の高さとプロジェクトマネジメント力の証左です。
ビジネスモデルの持続可能性
強み:
- 社会インフラに関わるシステム開発実績による高い参入障壁
- 大手ITベンダー・SIerとの長年の信頼関係
- ISO三重認証による品質・セキュリティ管理の徹底
- 継続受注率92.3%の顧客ロイヤルティ
- プロパー比率の高さと安定した人材育成体制
課題・リスク:
- 特定顧客への依存(上位2社で約40%)
- 人材確保競争の激化(IT技術者不足)
- アジア諸国企業の進出による価格競争
- 不採算案件発生リスク(開発工数増加、システム障害)
総じて、テラテクノロジーのビジネスモデルは、社会性の高いシステム開発実績による技術力と信頼関係を基盤とし、継続受注率92.3%の安定性と、DX需要拡大という追い風を受けた成長性を兼ね備えた構造と評価できます。
財務実績:業績データと安定性指標
過去5期の業績推移(単体)
| 項目 | 第31期 2021/3 |
第32期 2022/3 |
第33期 2023/3 |
第34期 2024/3 |
第35期 2025/3 |
CAGR |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 売上高(百万円) | 2,932 | 3,332 | 3,455 | 3,552 | 3,973 | 7.9% |
| 経常利益(百万円) | 284 | 369 | 421 | 430 | 481 | 14.1% |
| 当期純利益(百万円) | 189 | 264 | 300 | 306 | 346 | 16.3% |
| EPS(円) | 116.21 | 162.13 | 183.81 | 187.67 | 212.12 | – |
| 自己資本比率(%) | 60.5 | 63.2 | 72.9 | 74.2 | 74.0 | – |
| ROE(%) | 18.8 | 21.4 | 19.8 | 16.8 | 16.3 | – |
連結業績(直近2期):
| 項目 | 第34期 2024/3 |
第35期 2025/3 |
成長率 |
|---|---|---|---|
| 売上高(百万円) | 3,913 | 4,387 | +12.1% |
| 営業利益(百万円) | 447 | 506 | +13.2% |
| 経常利益(百万円) | 461 | 520 | +12.8% |
| 親会社株主帰属当期純利益(百万円) | 329 | 375 | +14.0% |
| EPS(円) | 201.60 | 229.85 | +14.0% |
| 総資産(百万円) | 2,915 | 3,356 | +15.1% |
| 純資産(百万円) | 2,122 | 2,453 | +15.6% |
| 自己資本比率(%) | 72.8 | 73.1 | +0.3pt |
| ROE(%) | 16.8 | 16.4 | -0.4pt |
第36期中間期(2025年9月期):
- 売上高: 2,309百万円
- 営業利益: 261百万円(営業利益率11.3%)
- 経常利益: 276百万円
- 親会社株主帰属中間純利益: 198百万円
- 自己資本比率: 75.2%
安定性指標の評価
① 高い自己資本比率(73.1% → 75.2%)
連結ベースで自己資本比率73.1%(2025年3月期)、中間期で75.2%と非常に高く、財務の健全性が確認できます。有利子負債残高はわずか3百万円(2025年3月末)で、実質無借金経営です。成長投資を可能とする財務基盤を有しています。
② 堅実なROE(16.4%)
ROE 16.4%は、日本企業の平均(約8%)を大きく上回る水準であり、株主資本を効率的に活用して利益を生み出していることを示しています。
③ 安定したキャッシュフロー
| 項目 | 第35期 2025/3 |
|---|---|
| 営業CF(百万円) | 431 |
| 投資CF(百万円) | △68 |
| 財務CF(百万円) | △56 |
| フリーCF(百万円) | 363 |
| 現金及び現金同等物期末残高(百万円) | 1,705 |
営業CFは安定的に430百万円以上を創出しており、フリーCFも363百万円の黒字です。利益成長と安定的なキャッシュ創出力が確認できます。
分野別業績(2025年3月期)
| 分野 | 売上高(百万円) | 前期比 | 構成比 |
|---|---|---|---|
| 情報サービス | 1,586 | +29.6% | 36.2% |
| 製造その他 | 980 | +8.3% | 22.3% |
| 公共 | 736 | △6.3% | 16.8% |
| 金融 | 549 | +30.7% | 12.5% |
| 通信 | 535 | △7.3% | 12.2% |
情報サービス・金融分野が大きく成長し、通信・公共分野の縮小を補って余りある成長を実現しています。
評価
強み:
- 過去5年間の売上高CAGR 7.9%、経常利益CAGR 14.1%の安定成長
- 営業利益率11.6%の高収益体質
- 自己資本比率73.1%、実質無借金の強固な財務基盤
- ROE 16.4%の高い資本効率
- 安定したキャッシュフロー創出力(営業CF 431百万円)
課題:
- 成長率の鈍化リスク(人材確保が成長の律速要因)
- 特定顧客への売上依存(富士通22.5%、TIS 18.2%)
総じて、財務健全性と収益力を兼ね備えた堅実な業績推移と評価できます。
需給構造分析
公募・売出の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 公募(新規発行) | なし(0株) |
| 売出(引受人の買取引受) | 570,000株 |
| 売出元 | 代表取締役 宮本一成: 490,000株 株式会社ネッツ: 80,000株 |
| オーバーアロットメント(OA) | 85,500株 |
| 仮条件 | 2,010円~2,090円 |
| ブックビルディング期間 | 2025年12月9日~12日 |
| 公募価格決定日 | 2025年12月15日 |
| 申込期間 | 2025年12月16日~19日 |
| 受渡期日・上場日 | 2025年12月23日 |
ロックアップ条項
引受人の買取引受による売出しに関連して、以下のロックアップ条項が設定されています。
ロックアップ期間: 上場日(2025年12月23日)から180日後の2026年6月20日まで
ロックアップ対象者:
- 売出人である株式会社ネッツ
- 貸株人かつ売出人である宮本一成(代表取締役)
- 当社新株予約権者21名
ロックアップ内容:
- 主幹事会社(SBI証券)の事前の書面による同意なしに、当社株式(新株予約権及び新株予約権の行使により取得した普通株式を含む)の売却等を行わない
- ただし、引受人の買取引受による売出し、オーバーアロットメントによる売出しのための貸株、グリーンシューオプション行使は除外
会社側のロックアップ:
- 当社も主幹事会社に対し、ロックアップ期間中は主幹事会社の事前の書面による同意なしに、当社株式の発行、転換社債等の発行を行わない旨合意
親引け先(従業員持株会)のロックアップ:
- 親引け先は、株式受渡期日後180日目の日(2026年6月20日)までの期間、継続して所有する旨の書面を差し入れる予定
主幹事の裁量権:
- 主幹事会社はロックアップ期間中であってもその裁量で当該合意の内容を一部若しくは全部につき解除できる権限を有する
評価: 標準的なロックアップ条項(180日間)が設定されており、代表取締役の宮本一成氏、大株主の株式会社ネッツ、新株予約権者が対象となっています。これにより、上場後180日間(約6ヶ月間)は大株主からの大量売却リスクが抑制され、需給の安定化が期待できます。
需給バランスの評価
① 公募なし・売出のみ(希薄化リスク小)
今回のIPOは公募(新規発行)がなく、全て既存株主からの売出です。公募がないため、1株当たり利益の希薄化が発生せず、株主価値の毀損がありません。これは、IPOとしては好材料です。
② 吸収金額13.7億円(小型案件)
想定価格2,090円での吸収金額は約13.7億円(OA含む)と小型案件です。小型案件は、IPO投資家の資金を吸収しやすく、需給が引き締まりやすい傾向があります。
③ 想定時価総額37.6億円(小型)
想定価格2,090円での時価総額は約37.6億円(発行済株式1,801,000株 × 2,090円)と小型です。小型時価総額は、IPO後の流動性が低く、需給バランスが株価に大きく影響する可能性があります。
④ スタンダード市場(流動性やや低い)
東証スタンダード市場は、プライム市場と比較して流動性が低い傾向があります。IPO直後の値動きは、需給の影響を受けやすいと予想されます。
⑤ 幹事団の構成
主幹事はSBI証券です。その他、岩井コスモ証券、岡三証券、むさし証券、松井証券、丸三証券、極東証券、Jトラストグローバル証券が元引受に参加しています。中堅証券中心の幹事構成は、IPO需要がやや限定的となる可能性があります。
⑥ 180日間のロックアップ(需給安定化要因)
代表取締役の宮本一成氏、大株主の株式会社ネッツ、新株予約権者21名が2026年6月20日までロックアップされており、上場後180日間は大株主からの大量売却リスクが抑制されます。これは需給の安定化要因となり、株価の下支え効果が期待できます。
IPO直後の需給
公募なし・小型案件という需給面のポジティブ要因はありますが、スタンダード市場・中堅証券中心という点で、プライム市場の大型案件ほどの初値高騰は期待しにくいと考えられます。ただし、小型案件特有の需給の引き締まりにより、初値が想定価格を上回る可能性は十分にあると評価します。
配当利回り3.85%という高い株主還元は、中長期投資家にとって魅力的であり、上場後の株価下支え要因になると予想されます。
仮条件レンジの評価
仮条件とバリュエーション
| 項目 | 下限(2,010円) | 上限(2,090円) | 想定価格(2,090円) |
|---|---|---|---|
| PER(倍) | 8.74 | 9.09 | 9.09 |
| PBR(倍) | 1.44 | 1.50 | 1.50 |
| EPS(円) | 229.85 | 229.85 | 229.85 |
| BPS(円) | 1,393.68 | 1,393.68 | 1,393.68 |
| 配当金(円)※ | – | – | 80.5 |
| 配当利回り(%) | – | – | 3.85 |
| 時価総額(億円) | 36.2 | 37.6 | 37.6 |
| 吸収金額(億円) | 13.2 | 13.7 | 13.7 |
※配当金は配当性向35%で試算(EPS 230円 × 35% = 80.5円)
参考:業界平均PER
- 情報・通信業平均PER: 25.9倍(2020年2月時点)
- SIer個別企業PER: 8.88倍~21.9倍(幅がある)
PER分析
① 想定価格PER 9.09倍は割安
想定価格2,090円でのPER 9.09倍は、情報・通信業平均PER 25.9倍と比較して大幅に割安です。ただし、同社は繰延税金資産の計上により実効税率が低く抑えられており、純利益が押し上げられている可能性があります(有価証券届出書に「PERは繰延税金調整の影響で低く計算されている」との注記あり)。
② 類似企業との比較
中小SIerのPERは8.88倍~21.9倍と幅があり、成長性や収益性により大きく異なります。テラテクノロジーの特徴を踏まえると、以下のような評価が妥当と考えられます:
- 成長性: 売上高CAGR 7.9%、営業利益CAGR 13.2%(過去5年)→ やや高い
- 収益性: 営業利益率11.6%、ROE 16.4% → 高い
- 安定性: 自己資本比率73.1%、継続受注率92.3% → 非常に高い
- 成長ポテンシャル: 毎期8%の人員増加計画、DX需要拡大 → 中程度
これらを総合すると、適正PERは12~15倍程度と推定されます。
③ 仮条件レンジの妥当性
仮条件レンジ(2,010円~2,090円、PER 8.74~9.09倍)は、適正PER 12~15倍を下回っており、やや割安な水準と評価できます。上場後、業績の安定性と成長性が市場に評価されれば、PER 12~15倍への再評価余地があります。
市場吸収率
想定価格2,090円での吸収金額は約13.7億円(OA含む)です。2025年のIPO市場規模を仮に5,000億円とすると、市場吸収率は0.27%と小さく、市場への影響は限定的です。
総合評価
仮条件レンジ(2,010円~2,090円、PER 8.74~9.09倍)は、業界平均PERと比較して割安であり、適正PER 12~15倍を下回る水準です。繰延税金調整の影響を考慮しても、配当利回り3.85%の株主還元と、堅実な業績・財務基盤を踏まえると、中長期投資家にとって魅力的な価格帯と評価します。
初値は、需給の引き締まりにより想定価格を上回る可能性がありますが、プライム市場の大型案件ほどの急騰は期待しにくいと考えられます。
条件付き株価レンジ
前提条件
以下の前提条件で、テラテクノロジーの適正株価レンジを試算します:
① PERアプローチ
- 適正PER: 12~15倍(業界平均25.9倍を下回るが、中小SIerとして堅実な水準)
- EPS: 229.85円(2025年3月期実績)
② PBRアプローチ
- 適正PBR: 1.5~2.0倍(ROE 16.4%を考慮)
- BPS: 1,393.68円(2025年3月期末単体)
③ 配当利回りアプローチ
- 目標配当利回り: 3.0~4.0%(高配当株として評価)
- 予想配当金: 80.5円(配当性向35%)
株価レンジ試算
① PERアプローチ
| PER倍率 | 株価 |
|---|---|
| 12倍 | 2,758円 |
| 13倍 | 2,988円 |
| 14倍 | 3,218円 |
| 15倍 | 3,448円 |
適正株価レンジ(PER): 2,758円~3,448円
② PBRアプローチ
| PBR倍率 | 株価 |
|---|---|
| 1.5倍 | 2,091円 |
| 1.75倍 | 2,439円 |
| 2.0倍 | 2,787円 |
適正株価レンジ(PBR): 2,091円~2,787円
③ 配当利回りアプローチ
| 配当利回り | 株価 |
|---|---|
| 4.0% | 2,013円 |
| 3.5% | 2,300円 |
| 3.0% | 2,683円 |
適正株価レンジ(配当利回り): 2,013円~2,683円
総合的な適正株価レンジ
3つのアプローチを総合すると、以下の株価レンジが妥当と考えられます:
| シナリオ | 株価レンジ | 根拠 |
|---|---|---|
| 保守的 | 2,091円~2,300円 | PBR 1.5倍、配当利回り3.5%を重視 |
| 標準 | 2,300円~2,758円 | PBR 1.75倍、PER 12倍を重視 |
| 楽観的 | 2,758円~3,218円 | PER 12~14倍を重視(成長性評価) |
総合適正株価レンジ: 2,300円~2,758円
初値予想
初値は、需給バランスと仮条件の割安感により、以下のレンジを予想します:
| シナリオ | 初値予想 | 想定価格比 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 弱気 | 2,200円~2,400円 | +5.3%~+14.8% | 需給やや軟調、スタンダード市場の流動性懸念 |
| 標準 | 2,400円~2,600円 | +14.8%~+24.4% | 小型案件の需給引き締まり、割安感 |
| 強気 | 2,600円~2,800円 | +24.4%~+34.0% | 好需給、配当利回り評価、業績安定性評価 |
初値予想レンジ(標準シナリオ): 2,400円~2,600円(想定価格比+14.8%~+24.4%)
まとめ考察
投資判断材料
① ビジネスモデルの強み
- 社会インフラに関わる高度なシステム開発という参入障壁の高い領域を主戦場
- 継続受注率92.3%の顧客ロイヤルティ
- ISO三重認証による品質・セキュリティ管理
- 大手ITベンダー・SIerとの長期取引関係(富士通、TIS等)
② 財務・業績の安定性
- 過去5年間の売上高CAGR 7.9%、経常利益CAGR 14.1%の安定成長
- 営業利益率11.6%の高収益体質
- 自己資本比率73.1%、実質無借金の強固な財務基盤
- ROE 16.4%の高い資本効率
- 安定したキャッシュフロー創出力(営業CF 431百万円)
③ 成長ポテンシャル
- DX需要拡大という追い風(公共、通信、情報サービス、金融、製造すべての分野で需要拡大)
- 毎期8%の人員増強計画による売上拡大
- クラウド化の流れを成長機会として捉えた新サービス展開
④ 株主還元
- 配当性向35%以上を目標
- 想定価格2,090円での配当利回り3.85%(EPS 230円 × 35% = 80.5円)
- 中長期投資家にとって魅力的な水準
⑤ バリュエーション
- 想定価格PER 9.09倍は、業界平均25.9倍と比較して割安
- 適正PER 12~15倍を下回る水準
- PBR 1.5倍も妥当な水準
⑥ 需給バランス
- 公募なし・売出のみ(希薄化リスク小)
- 小型案件(吸収金額13.7億円)
- 小型時価総額(37.6億円)
- スタンダード市場(流動性やや低い)
リスク要因
① 特定顧客への依存
- 上位2社(富士通22.5%、TIS 18.2%)で売上の約40%
- 特定顧客の経営変動が業績に大きく影響する可能性
② 人材確保リスク
- IT技術者不足により、計画通りの人員増強ができない可能性
- 人材獲得競争激化により、人件費が上昇する可能性
③ 価格競争リスク
- アジア諸国企業の日本進出により、低価格競争が激化する可能性
- 付加価値の高いサービス提供により差別化を図っているが、一定のリスクは残る
④ 不採算案件リスク
- 開発工数増加、システム障害等により、不採算案件が発生する可能性
- 品質マネジメントシステム(ISO9001)で対策しているが、完全には防げない
⑤ スタンダード市場の流動性リスク
- プライム市場と比較して流動性が低く、IPO後の値動きが不安定になる可能性
総合的な投資判断
テラテクノロジーのIPOは、堅実な業績と財務基盤、高い配当利回り、割安なバリュエーションを兼ね備えた、中長期投資家向けの魅力的な銘柄と評価します。
仮条件レンジ(2,010円~2,090円)は適正PER 12~15倍を下回る割安な水準であり、初値は想定価格を10~25%程度上回る2,400円~2,600円を予想します。
上場後、業績の安定性と成長性が市場に評価されれば、1年後に2,800円~3,200円(PER 12~14倍への再評価)、3年後に3,500円~4,000円(中期経営計画達成、EPS成長)への株価上昇が期待できます。
特定顧客への依存、人材確保リスク、価格競争リスクといった課題はありますが、公共・通信分野での高い専門性と継続受注率92.3%の顧客ロイヤルティにより、中長期的な競争力維持は可能と評価します。
業績を図る指標
テラテクノロジーへの投資を検討する際、以下の指標を継続的にウォッチすることを推奨します。
成長性指標
| 指標 | 目標・基準 | 確認タイミング |
|---|---|---|
| 開発部門従業員数 | 毎期8%増加(中期経営計画) | 四半期ごと |
| 売上高成長率 | CAGR 7.9%以上を維持 | 四半期決算 |
| 営業利益成長率 | CAGR 13%以上を維持 | 四半期決算 |
| 受注高・受注残高 | 前年同期比増加 | 四半期決算 |
注目ポイント: 開発部門従業員数が計画通り8%増加しているか。売上高と営業利益の成長率が鈍化していないか。
収益性指標
| 指標 | 目標・基準 | 確認タイミング |
|---|---|---|
| 営業利益率 | 11.6%以上を維持 | 四半期決算 |
| 売上総利益率 | 23.9%以上を維持 | 四半期決算 |
| ROE | 16.4%以上を維持 | 四半期決算 |
注目ポイント: 人件費上昇や価格競争により、営業利益率が低下していないか。ROEが低下していないか。
安定性指標
| 指標 | 目標・基準 | 確認タイミング |
|---|---|---|
| 継続受注率 | 92%以上を維持 | 年次報告 |
| 特定顧客依存度 | 上位2社40%以下に低減 | 四半期決算 |
| 自己資本比率 | 70%以上を維持 | 四半期決算 |
| 営業CF | 安定的に創出 | 四半期決算 |
注目ポイント: 継続受注率が低下していないか。特定顧客への依存度が高まっていないか。
株主還元指標
| 指標 | 目標・基準 | 確認タイミング |
|---|---|---|
| 配当性向 | 35%以上 | 年次決算 |
| 1株当たり配当金 | 増配傾向 | 年次決算 |
| 自己株式取得 | 余剰資金活用 | 適宜 |
注目ポイント: 配当性向35%以上が維持されているか。増配が継続されているか。
リスク指標
| 指標 | 注意水準 | 確認タイミング |
|---|---|---|
| 離職率 | 10%以上で注意 | 年次報告 |
| 不採算案件の発生 | 発生有無・金額 | 四半期決算 |
| 外注比率 | 30%以上で注意 | 四半期決算 |
| 特定顧客の動向 | 富士通・TISの業績・IT投資動向 | 四半期ごと |
注目ポイント: 離職率が上昇していないか。不採算案件が頻発していないか。外注比率が高まっていないか。
その他の確認事項
① 中期経営計画の進捗
- 開発部門従業員数を毎期8%増加させる計画の達成状況
- 分野別売上高の推移(情報サービス・金融分野の成長、公共・通信分野の回復)
② 新技術への対応
- クラウド技術、マイクロサービス、IoT、AI等の新技術案件の獲得状況
- 研究開発費の推移(地方自治体向け施設予約システム等)
③ M&A・アライアンス
- 成長加速のためのM&A実施の有無
- 新規パートナーシップ締結の動向
④ 市場環境
- DX需要の動向
- IT技術者の需給バランス
- 政府・自治体のIT投資動向
この記事では企業分析した結果を掲載していますが、特定企業への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任でお願いします。



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