総合評価ランク
SBI証券主幹事
みずほ証券主幹事
ゴールドマン・サックス証券主幹事
SMBC日興証券主幹事
BofA証券主幹事
大和証券主幹事
岡三証券
三菱UFJモルガン・スタンレー証券
松井証券
岩井コスモ証券
極東証券
Jトラストグローバル証券
東洋証券
水戸証券
むさし証券
利益構造
銀行ビジネスの本質:「預金と貸出の利ざや」だけではない
多くの人は銀行の収益を「預金を集めて、それを貸し出して金利差で稼ぐ」とイメージします。これは半分正解で、半分不正解です。
SBI新生銀行の2025年3月期の収益構造を見てみましょう:
- 経常収益: 614.0億円
- 内訳:
- 資金運用収益(貸出・有価証券運用): 311.0億円(50.6%)
- 役務取引等収益(手数料ビジネス): 32.7億円(5.3%)
- その他業務収益・特定取引収益等: 270.3億円(44.1%)
興味深いのは、「その他」が44%も占めている点です。これは何を意味するのでしょうか?
「銀行とノンバンクの機能を併せ持つ」の意味
SBI新生銀行は、単なる預金・貸出銀行ではありません。届出書には「銀行とノンバンクの機能を併せ持つ総合金融サービス」と明記されています。
具体的には以下の4つの事業セグメントで構成されています:
- 機関投資家事業(法人向け貸出・ストラクチャードファイナンス)
- 個人事業(住宅ローン・カードローン・資産運用)
- 新生フィナンシャル(個人向け無担保ローン)
- 海外事業/証券投資/その他
このうち、機関投資家事業と新生フィナンシャルが大きな利益を生んでいます。
ストック型収益の本質:ローン残高の積み上げ
銀行ビジネスの強力な点は、「一度貸し出せば、返済されるまで毎月利息が入り続ける」ストック型収益構造です。
例えば:
- 住宅ローンを1件実行すれば、30年間にわたって金利収入が発生
- カードローンの契約が積み上がれば、毎月の利息収入が自動的に増加
- 法人向け貸出も同様に、貸出残高が増えれば資金利益が積み上がる
SBI新生銀行の主要KPI:
- 貸出金残高: 約6.8兆円(2025年9月末時点)
- 預金残高: 約9.6兆円(2025年9月末時点)
- 総資産: 約16.1兆円
これらの残高が「基盤」となり、そこから生まれる利息収入が安定的なキャッシュフローを生み出します。
SBIグループとの協業がもたらす「流通チャネル」
SBI新生銀行の最大の強みは、SBIグループのエコシステムに組み込まれている点です。
具体的には:
-
SBI証券との口座連携
- SBIハイパー預金(証券担保ローン付き預金)は残高4,000億円を突破
- 証券取引をする顧客が自動的に銀行口座も開設→相互送客
-
デジタル優先戦略
- スマホアプリ「パワーダイレクト」で24時間365日対応
- ステップアッププログラム(優遇制度)で顧客をロックイン
-
年齢別特典
- U28Zero(28歳以下)、Bright 60(60歳以上)など、ライフステージに応じたサービス
この「流通チャネル」は、SBI新生銀行が単独で構築しようとすれば莫大なコストがかかります。しかし、SBIグループの顧客基盤を活用することで、低コストで顧客を獲得できるのです。
これは銀行業において極めて有利な競争優位性です。
なぜ利益が継続的に増えているのか
2023年3月期→2024年3月期→2025年3月期と、経常利益は右肩上がりです:
- 2023年3月期:経常利益 約378億円
- 2024年3月期:経常利益 約611億円(+61.6%)
- 2025年3月期:経常利益 約778億円(+27.3%)
この成長の背景には:
-
金利上昇環境の恩恵
- 日銀の金融政策正常化により、貸出金利が上昇
- 預金金利の上昇ペースは緩やか→金利マージンが拡大
-
貸出残高の増加
- 不動産ノンリコースローン、コーポレートファイナンスが好調
-
手数料ビジネスの拡大
- 資産運用関連手数料が堅調
つまり、「ローン残高が積み上がる」×「金利環境が改善」という2つのドライバーが働いているのです。
業績を示すファクトデータ
貸出金残高の推移
- 2023年3月期:6.3兆円
- 2024年3月期:6.6兆円
- 2025年3月期:6.8兆円
- →毎年2-3%ずつ堅実に増加(これが利益の基盤)
預金残高の推移
- 2023年3月期:9.1兆円
- 2024年3月期:9.4兆円
- 2025年3月期:9.6兆円
- →安定的な資金調達基盤
預金が積み上がるほど、低コストで資金を調達でき、それを高い金利で貸し出せます。
SBIハイパー預金の急成長
- 2024年3月期:残高データなし
- 2025年:4,000億円突破を発表
- →SBI証券連携による独自商品が急拡大中
これは、SBIグループのエコシステム効果が実際に働いている証拠です。
不良債権比率
銀行の健全性を示す重要指標:
- 不良債権比率: 1%前半(届出書に明記なし、推定)
- 貸倒引当金: 適切に積み立て
- 自己資本比率: 10%以上(バーゼルⅢ基準を十分満たす)
→ 財務健全性は高い水準
公的資金の完済
- 2025年7月に公的資金1,200億円を完済
- →「国のお荷物」から脱却、民間金融機関として再出発
これは極めて重要なマイルストーンです。公的資金を完済したということは、「自力で利益を生み出し、資本を蓄積できる体制が整った」ことを意味します。
業績予想と成長見通し
業績実績と予想(単位:億円)
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期(予想) |
|---|---|---|---|
| 経常収益 | 530.7 | 614.0 | 非公表 |
| 経常利益 | 610.7 | 777.8 | 非公表 |
| 当期純利益 | 579 | 844 | 1,000 |
数字の意味:
-
2025年3月期の当期純利益844億円は過去最高益 → これは金利上昇環境と貸出残高増加の両方が効いている証拠
-
2026年3月期の当期純利益予想は1,000億円(前期比+18.3%) → 経営陣は二桁成長を継続できると見ている
-
中間期(2025年4-9月)実績は693億円 → 通期1,000億円達成は射程圏内
成長率の水準評価
当期純利益の前年比成長率:
- 2024年3月期 → 2025年3月期:+45.8%
- 2025年3月期 → 2026年3月期(予想):+18.3%
銀行業で二桁成長を続けるのは異例です。通常、大手銀行の成長率は一桁台です。
予想達成の蓋然性
達成の根拠:
-
金利上昇トレンドの継続
- 日銀の金融正常化政策は当面続く見込み
- 貸出金利は引き続き上昇余地あり
-
SBIグループとのシナジー加速
- SBIハイパー預金はまだ初期段階、拡大余地大
- SBI証券の顧客基盤(800万口座超)を活用
-
コスト構造の改善
- デジタル化による業務効率化
- 公的資金返済により資本コストが低下
リスク要因:
-
景気後退による貸倒れ増加
- 不動産市況悪化→ノンリコースローンの焦げ付き
-
金利急上昇による逆ザヤ
- 預金金利が貸出金利より速く上昇すれば利ざやが縮小
ただし、経営陣は保守的に見積もっている印象です。中間期の進捗から見て、通期1,000億円は達成確度80%以上と推定されます。
業績を支える因果関係
外部要因:日銀の金融政策正常化
最大の追い風は、日銀のマイナス金利解除です。
2024年3月にマイナス金利政策が解除され、2024年7月には0.25%への利上げが実施されました。これにより:
- 貸出金利が上昇 → 利息収入増加
- 預金金利の上昇は緩やか → 利ざやが拡大
銀行業は「金利差ビジネス」です。貸出金利と預金金利の差(スプレッド)が広がれば、自動的に利益が増えます。
SBI新生銀行は、このマクロ環境の変化を最大限享受しています。
内部要因:SBIグループのエコシステム
単独の銀行では、顧客獲得コストが膨大です。しかし、SBI新生銀行は:
-
SBI証券との口座連携
- 証券口座開設者に銀行口座も同時開設を促す
- SBIハイパー預金は証券担保ローン機能付き→投資家に魅力的
-
SBIグループの信用力
- 「SBI」ブランドによる信頼感
- グループ全体での顧客基盤(1,000万人超)
-
デジタルファースト戦略
- 店舗コストを抑えつつ、アプリで利便性を提供
- ステップアッププログラムで顧客をロイヤル化
これらは、親会社SBIホールディングスが作り上げたエコシステムに「ただ乗り」できるという強烈な優位性です。
構造的優位:ノンリコースローンの専門性
SBI新生銀行の強みの一つは、不動産ノンリコースローン(不動産のキャッシュフローのみを返済原資とする融資)です。
通常の銀行は、企業の信用力全体を見て融資します。しかし、ノンリコースローンは不動産そのものの収益力を評価して融資します。
これは高度な不動産評価ノウハウが必要であり、新規参入者にはハードルが高いビジネスです。SBI新生銀行は長年この分野で実績を積んでおり、専門性による参入障壁があります。
競合構造(同業 × 代替)
同業競合:メガバンク vs 地銀 vs ネット銀行
銀行業界は大きく以下に分類されます:
-
メガバンク(三菱UFJ、三井住友、みずほ)
- 圧倒的な資本力と顧客基盤
- 国際業務、大企業向け融資が中心
- 収益構造:総合金融、グローバル展開
-
地方銀行
- 地域密着型、中小企業向け融資
- 人口減少・低金利で苦戦
- 収益構造:地域経済依存、利ざや縮小
-
ネット銀行(楽天銀行、住信SBIネット銀行など)
- 店舗なし、デジタル完結
- 低コスト構造
- 収益構造:手数料・カードローン
SBI新生銀行はどこに位置するのか?
答え:「メガバンクとネット銀行の中間」
- 店舗は最小限(メガバンクより軽い)
- デジタル重視(ネット銀行並み)
- 法人向け専門金融(メガバンク的)
- 個人向けカードローン(ネット銀行的)
この「いいとこ取り」ポジションが、SBI新生銀行の独自性です。
代替:フィンテック企業の台頭
銀行の競合は、もはや銀行だけではありません:
- 決済:PayPay、楽天ペイ(銀行口座不要)
- 融資:クラウドファンディング、ピアツーピア貸出
- 資産運用:ロボアドバイザー、仮想通貨取引所
しかし、SBI新生銀行はSBIグループの一員であることで、この脅威を逆に強みに変えています。
例:
- SBIグループは仮想通貨取引所(SBI VCトレード)も運営
- ロボアドバイザー(WealthNavi)とも連携
「フィンテックを取り込む側」に回ることで、代替リスクを回避しています。
結論:条件分岐で評価が変わる
SBI新生銀行への投資判断は、以下の条件で変わります:
条件A:SBIグループのエコシステムが拡大し続ける → ポジティブ(顧客獲得コスト低減、相互送客が加速)
条件B:金利上昇トレンドが続く → ポジティブ(利ざや拡大、利益成長継続)
条件C:景気後退で不良債権が急増 → ネガティブ(貸倒損失増加、利益圧迫)
条件D:フィンテック規制が厳格化 → ネガティブ(SBIグループ全体への逆風)
現時点では条件A・Bが優勢です。ただし、条件Cは景気次第であり、予測困難です。
IPO需給構造
公募・売出・OAの内訳
- 公募(新株発行): 55,500,000株
- 公募(自己株処分): 33,500,000株
- 売出(SBIホールディングス): 133,000,000株
- OA(オーバーアロットメント): 33,300,000株
合計: 約255,300,000株
吸収金額
仮条件中央値1,445円として:
- 総吸収金額: 約3,689億円
これは国内IPO史上最大級です。
浮動株と需給バランス
- 上場時発行済株式総数: 895,500,000株
- 公募・売出の合計: 222,000,000株(OA除く)
- 公募・売出比率: 約24.8%
つまり、発行済株式の約4分の1が市場に放出されます。
ロックアップ
- 大株主(SBIホールディングス): 180日間のロックアップが設定
ロックアップ解除時に追加売却される可能性があり、その際は需給悪化リスクがあります。
親引け先:農林中央金庫
届出書には、農林中央金庫に対して最大3,472,200株(約50億円)を親引け(優先割当)することが記載されています。
これは、農林中央金庫とSBI新生銀行の業務提携関係を構築するためと説明されています。
親引けは、安定株主を確保するという意味でポジティブですが、一般投資家への配分が減るという意味でネガティブでもあります。
短期の需給バランスに及ぼす意味
超大型案件であるため、以下の需給懸念があります:
-
吸収金額3,689億円
- 東証プライム市場の1日の売買代金は約3兆円
- 吸収率は約12%
- 市場の吸収力からすれば「重い」レベル
-
公募・売出比率24.8%
- 発行済株式の4分の1が一気に市場に出る
- 初値形成後、売り圧力が続く可能性
-
SBIホールディングスの持株比率低下
- 今回の売出後も過半数を保有すると想定されるが、将来的な追加売却懸念
-
機関投資家の需要
- プライム市場案件なので、機関投資家の買いが入る
- 時価総額1.2兆円は大型株ファンドの組入れ対象
結論:短期的には需給が重く、初値は公募価格を下回るリスクがあります。ただし、中長期的には機関投資家の買いが入り、安定する可能性があります。
仮条件レンジ分析
仮条件:1,440円~1,450円
想定価格: 1,440円 仮条件レンジ: わずか10円幅(0.7%)
この狭いレンジは、主幹事が価格をほぼ確定させていることを意味します。
PER計算
2026年3月期予想当期純利益: 1,000億円
発行済株式数(上場時): 895,500,000株
EPS: 1,000億円 ÷ 8.955億株 = 111.7円
仮条件ベースのPER:
- 下限1,440円:PER 12.9倍
- 上限1,450円:PER 13.0倍
類似銀行との比較
主要銀行のPER(2025年12月1日時点、概算):
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ: PER 10-11倍
- 三井住友フィナンシャルグループ: PER 9-10倍
- みずほフィナンシャルグループ: PER 8-9倍
SBI新生銀行のPER 13倍は、メガバンクより高い
これは以下を織り込んでいると推定されます:
- 成長性の高さ(二桁成長 vs メガバンクの一桁成長)
- SBIグループのシナジー
- 公的資金完済による「再生ストーリー」
PBR計算
2025年3月期末の純資産: 約8,860億円(届出書より) 発行済株式数(上場時): 895,500,000株 BPS: 8,860億円 ÷ 8.955億株 = 989円
仮条件ベースのPBR:
- 下限1,440円:PBR 1.46倍
- 上限1,450円:PBR 1.47倍
メガバンクのPBR:0.6-0.8倍程度
SBI新生銀行のPBR 1.46倍は、メガバンクの約2倍
これは、ROE(自己資本利益率)の高さを反映しています:
- SBI新生銀行のROE: 844億円 ÷ 8,860億円 = 9.5%
- メガバンクのROE: 5-7%程度
ROEが高い企業は、PBRも高く評価される傾向があります。
配当利回り
2026年3月期予想配当: 34円(届出書より)
仮条件ベースの配当利回り:
- 下限1,440円:2.36%
- 上限1,450円:2.34%
メガバンクの配当利回り: 3-4%程度
SBI新生銀行の配当利回りは、メガバンクより低い
これは、成長企業として配当より内部留保を優先する方針と推定されます。
主幹事の仮条件設定スタンス
野村證券・SBI証券が設定した仮条件は、「やや強気」と評価できます。
根拠:
- PER 13倍はメガバンク(PER 8-11倍)より高い
- PBR 1.46倍もメガバンク(PBR 0.6-0.8倍)の2倍
- 配当利回り2.3%は低め
この価格は、「成長性とSBIグループのシナジーを織り込んだプレミアム価格」です。
裏を返せば、初値で大きく上昇する余地は少ないとも言えます。
条件付きレンジ
以下は予想ではなく、「条件が成立した場合の計算上の到達領域」です。
前提条件マトリクス
| シナリオ | EPS成長率(年率) | 想定PER | 3年後のEPS | 3年後の理論株価 |
|---|---|---|---|---|
| 強気 | +15% | 15倍 | 170円 | 2,550円 |
| 基本 | +10% | 13倍 | 149円 | 1,937円 |
| 弱気 | +5% | 11倍 | 129円 | 1,419円 |
計算根拠:
- 強気シナリオ: 金利上昇継続+SBIエコシステム加速
- 基本シナリオ: 現状の成長率維持
- 弱気シナリオ: 景気後退で成長鈍化
各シナリオの前提
強気シナリオ(確率20%):
- SBIグループとのシナジーが想定以上に進む
- SBIハイパー預金が1兆円規模に拡大
- 金利上昇が続き、利ざやが拡大
- ROEが12%に上昇
基本シナリオ(確率60%):
- 現状の成長率10%が継続
- SBIグループのエコシステムが安定的に拡大
- 金利は横ばい~緩やかな上昇
- ROEは9-10%で推移
弱気シナリオ(確率20%):
- 景気後退で貸倒れ増加
- 金利が再び低下
- SBIグループ全体が逆風
- ROEが6-7%に低下
期待値加重平均
期待株価 = 2,550円 × 20% + 1,937円 × 60% + 1,419円 × 20% = 510円 + 1,162円 + 284円 = 1,956円
仮条件上限1,450円から: → +35%の上昇余地
ただし、これは3年後の理論株価です。IPO後すぐにこの水準に到達するわけではありません。
この企業における重要指標
IPO後、以下の指標を四半期ごとに追うことで、投資判断を更新できます。
貸出金残高の増減
なぜ重要か: 貸出金残高が増えれば、利息収入が自動的に増えます。逆に減少すれば、収益基盤が弱体化します。
見方:
- 前年同期比で+2%以上の成長を維持できているか
- 不動産ノンリコースローンと法人向け貸出のバランス
預金残高の増減
なぜ重要か: 預金は銀行の「資金調達源」です。預金が増えれば、低コストで資金を集められます。
見方:
- SBIハイパー預金の残高推移(SBIグループとのシナジーの証)
- 普通預金と定期預金の比率(普通預金が増えれば、資金コスト低減)
貸出・預金利ざや(NIM: Net Interest Margin)
なぜ重要か: 銀行の利益の源泉は「利ざや」です。貸出金利と預金金利の差が広がれば、利益が増えます。
見方:
- NIMが拡大傾向にあるか、縮小傾向にあるか
- 金利環境の変化に応じてどう推移するか
不良債権比率
なぜ重要か: 不良債権が増えると、貸倒引当金を積み増す必要があり、利益が圧迫されます。
見方:
- 不良債権比率が1.5%以下に抑えられているか
- 特に不動産ノンリコースローンの焦げ付きが増えていないか
ROE(自己資本利益率)
なぜ重要か: ROEが高い銀行は、株主資本を効率的に活用できています。ROEが低下すれば、株価も下がります。
見方:
- ROE 9%以上を維持できているか
- 配当性向とのバランス(配当を増やしすぎると、ROE低下)
SBIグループとのシナジー指標
なぜ重要か: SBI新生銀行の最大の強みは、SBIグループのエコシステムです。このシナジーが弱まれば、競争優位性が失われます。
見方:
- SBIハイパー預金の残高推移
- SBI証券との口座連携数
- SBIグループ全体の顧客基盤推移
ロックアップ解除イベント
なぜ重要か: 180日後(2026年6月頃)にロックアップが解除されると、SBIホールディングスが追加売却する可能性があります。
見方:
- ロックアップ解除前後の株価動向
- SBIホールディングスの売却意向(開示があれば)
関連用語集
- 貸出金残高: 銀行が企業や個人に貸し出している金額の合計。
- 預金残高: 銀行が顧客から預かっている金額の合計。
- 利ざや(スプレッド): 貸出金利と預金金利の差。銀行の利益の源泉。
- NIM(Net Interest Margin): 純金利マージン。貸出・預金利ざやを示す指標。
- ノンリコースローン: 不動産のキャッシュフローのみを返済原資とする融資。
- 公的資金: 国が銀行に資本注入した資金。SBI新生銀行は2025年7月に完済。
- SBIハイパー預金: SBI証券の口座と連携し、証券担保ローン機能を持つ預金商品。
まとめ考察
SBI新生銀行IPOの本質
このIPOは、「かつて経営破綻した銀行が、公的資金+SBIグループの力で蘇生し、再び成長軌道に乗った」というストーリーです。
公的資金を完済し、2年連続で過去最高益を更新し、2026年3月期には1,000億円の純利益を見込む。この実績は本物です。
しかし、時価総額1.2兆円、吸収金額3,689億円という超大型案件であるがゆえに、需給面では初値が重くなりがちな案件です。
投資判断の分岐点
ポジティブ要素:
- 金利上昇環境の恩恵(利ざや拡大)
- SBIグループのエコシステム(低コスト顧客獲得)
- 過去最高益更新中(実績ベースの成長)
- 公的資金完済(財務健全性の証明)
- プライム市場上場(機関投資家の買い期待)
ネガティブ要素:
- 超大型案件による需給悪化(初値公募割れリスク)
- PER 13倍、PBR 1.46倍(メガバンクより高い=割高感)
- ロックアップ解除リスク(180日後に売り圧力)
- 景気後退リスク(不良債権増加懸念)
- 金利政策の不確実性(利ざや縮小リスク)
具体的な投資戦略案
短期トレーダー向け:
- 初値で即売りが無難
- 大型案件は初値高騰しにくい
- 公募割れリスクも視野に入れるべき
中期投資家向け(6ヶ月-1年):
- 上場後1-3ヶ月様子見
- 需給が落ち着くまで待つ
- 1,300-1,400円まで下がれば買い場
- ロックアップ解除前(2026年5月頃)に売却検討
長期投資家向け(3年以上):
- 業績が証明されるまで待つ
- 2026年3月期の通期1,000億円達成を確認
- その後、1,200-1,300円で仕込む
- 3年後に1,900-2,000円を目指す
「待ち」が賢明かもしれません
IPOは「祭り」です。多くの人が「初値で儲けたい」と飛びつきますが、大型案件ほど初値は低迷します。
SBI新生銀行のビジネスモデルは優秀です。しかし、需給面では重いことが想定されます。
もちろん初値狙いもありですが、上場後に株価が落ち着いてから、じっくり検討するのもいいかなと思います。



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