IPO関連用語集

価格決定まわりのキーワード

ブックビルディング方式

読み: ブックビルディング
ざっくり一言: 「みんなの希望価格を集めて公開価格を決める方式」

詳しい説明:
証券会社が機関投資家や個人投資家に対して
「この価格帯(=仮条件)の中で、何株くらい欲しいですか?」
とヒアリング(需要申告)を行い、その結果を集計して、最終的な**発行価格(公開価格)**を決める方法です。

ポイント:

  • ほぼ全ての日本IPOでこの方式が使われています。
  • 「需要が強いと仮条件の上限に決まる」「弱いと下限寄りになる」といった感覚で見ると理解しやすいです。

仮条件

読み: かりじょうけん
ざっくり一言: 「公開価格の候補となる“価格帯”」

詳しい説明:
ブックビルディングを始める前に、「○○円〜△△円」といった形で提示されるレンジ(幅)です。
この範囲の中で投資家が需要を出し、その結果を見て最終的な発行価格
が決まります。

ポイント:

  • 仮条件が想定価格より高いか・低いかで、マーケットの評価の強弱をある程度推測できます。
  • 個人投資家は「上限で決まりそうか?」をニュース等でチェックすることが多いです。

発行価格(公開価格)

読み: はっこうかかく(こうかいかかく)
ざっくり一言: 「投資家が実際に買う価格」

詳しい説明:
ブックビルディングの結果として決まる、IPOで投資家が払う1株あたりの価格です。
「公開価格」「発行価格」と呼ばれますが、実務上はほぼ同じ意味で使われます。

ポイント:

  • 「初値が公開価格より上か下か」でIPOが成功したかどうかを語られがちです。
  • 届出書には「想定発行価格」「仮条件」「発行価格」の流れが書かれるので、変化を見ると市場評価の変遷が見えます。

引受価額

読み: ひきうけかがく
ざっくり一言: 「証券会社が発行体(会社)から買う価格」

詳しい説明:
証券会社は、発行会社から株をいったんまとめて買い取り、それを投資家に販売します。
このとき、

  • 投資家が払うのは 発行価格
  • 証券会社が会社に払うのは 引受価額
    であり、その差額が証券会社の収益(引受利益)になります。

ポイント:

  • 個人投資家視点ではあまり意識しませんが、「発行価格と引受価額の差がどれくらいか」で証券会社の取り分の大きさを推測できます。

元引受契約

読み: もとうけいれけいやく(元引受契約)
ざっくり一言: 「発行会社と主幹事が結ぶ正式な契約書」

詳しい説明:
発行会社と主幹事証券の間で締結される、

  • いくらで
  • 何株
  • どんな条件で
    引き受けるかを定めた契約です。
    契約が解除された場合は、募集や売出し自体が中止になることも、届出書に明記されています。

ポイント:

  • 「○○の場合には元引受契約を解除」といった条項が書かれており、想定外の事態への対応ルールが分かります。

需給調整・株価安定系キーワード

オーバーアロットメント(OA)

読み: オーバーアロットメント
ざっくり一言: 「一時的に株を“借りて”余分に売る仕組み」

詳しい説明:
需要が強いときに、主幹事証券が株を一時的に借りて、予定より多く売り出すしくみです。

  • 通常の「公募・売出し」の株数に加えて
  • 一定割合(日本では多くて発行株数の15%程度)の株を追加で投資家に売る
    ことで、初値形成時の需給を安定させる狙いがあります。

ポイント:

  • 「オーバーアロットメントによる売出し」と届出書に明記されます。
  • 株価が不安定になりそうな局面で、需給の調整弁として機能します。

グリーンシューオプション

読み: グリーンシューオプション
ざっくり一言: 「追加で株を仕入れる“権利”」

詳しい説明:
オーバーアロットメントに関連して、主幹事証券が
「○○円で追加の株を△△株、既存株主から買える権利」
をあらかじめもらっておく仕組みです。

主幹事は、

  • 市場で株を買い戻したり(シンジケートカバー取引)
  • このオプションを行使して株を受け取ったり
    することで、借りていた株(OAで投資家へ売った分)を返済します。

ポイント:

  • 「グリーンシュー」「グリシュー」と略されます。
  • 上場直後の株価が急騰・急落しないようにするための調整の道具です。

シンジケートカバー取引

読み: シンジケートカバーとりひき
ざっくり一言: 「市場で買い戻して株価を支える取引」

詳しい説明:
OAで一時的に売り越した状態から、市場で株式を買い戻す取引です。

  • 株価が公開価格を割れそうなときなどに
  • 主幹事が市場から株を買うことで
    株価の下支えをする効果があります。

ポイント:

  • 買い戻した株は、借りていた株の“返済”に充てられます。
  • 「シンジケートカバー取引期間」「上限株式数」が届出書に書かれています。

安定操作取引

読み: あんていそうさとりひき
ざっくり一言: 「上場直後の株価が暴れすぎないようにするための一連の取引」

詳しい説明:
IPO後まもない期間に、

  • 株価が急落しすぎないように
  • 一定のルール・制約の中で
    証券会社が行う価格安定のための取引の総称です。

グリーンシューオプションやシンジケートカバー取引も、この「安定操作」の一部と考えられます。

ポイント:

  • 完全な価格コントロールではなく、あくまで“異常な乱高下を抑える”ための仕組みというイメージです。

ロックアップ・継続所有系キーワード

ロックアップ

読み: ロックアップ
ざっくり一言: 「上場後しばらく株を売らないという約束」

詳しい説明:
主要株主(創業者・VC・役員など)が、
「上場日から○日間は、主幹事の同意なしには株を売りません」
と約束する契約です。

ポイント:

  • 典型的には90日・180日などの期間が多いです。
  • ロックアップ期間が長いほど、上場直後に大量の売りが出にくく、需給が安定しやすいと言われます。
  • 一部、「公開価格の○倍以上なら売ってよい」という解除条件付きのものもあります。

継続所有確約(制度ロックアップ)

読み: けいぞくしょゆうかくやく
ざっくり一言: 「取引所ルールに基づく“売らない約束”」

詳しい説明:
取引所の上場規則に基づき、

  • 上場直前に第三者割当増資で株を受け取った投資家などが
  • 「○年間はこの株を売りません」と取引所に対して確約するものです。

ポイント:

  • ロックアップが主幹事との契約であるのに対し、
    継続所有確約は取引所ルールに根拠がある点が少し違います。
  • 有価証券届出書の「第三者割当等の概況」などに記載されます。

証券会社・販売体制系キーワード

主幹事会社

読み: しゅかんじがいしゃ
ざっくり一言: 「IPOプロジェクトの司令塔となる証券会社」

詳しい説明:
IPO全体を仕切る中心的な証券会社です。

  • スケジュール設計
  • 価格決定プロセスの主導
  • 説明資料の作成支援
  • 投資家への販売
  • OA・グリーンシューの運用
    など、ほとんどの実務をリードします。

ポイント:

  • 主幹事がどこか(大和、野村、SMBC日興など)で、マーケットの注目度が変わることもあります。

引受人

読み: ひきうけにん
ざっくり一言: 「株をまとめて引き受ける証券会社(主幹事+その他)」

詳しい説明:
主幹事証券に加えて、IPO株を引き受けるすべての証券会社のことです。

  • 「株式の引受け」の表に、各社ごとの引受株数が載ります。
  • 引受人が一度株を買い受けてから、一般投資家へ販売します。

ポイント:

  • どの証券会社に口座を持っていると抽選に参加できるか、という観点で個人投資家がチェックする部分です。

委託販売先金融商品取引業者

読み: いたくはんばいさききんゆうしょうひんとりひきぎょうしゃ
ざっくり一言: 「幹事から販売を“分けてもらう”証券会社」

詳しい説明:
引受人(主幹事・幹事)が、自社だけでさばききれない分について、
他の証券会社に販売だけを委託する場合、その委託先の証券会社を指します。

ポイント:

  • 委託販売先の証券会社の顧客もIPOに参加できるようになります。
  • 「引受はしていないけど販売には参加する」立ち位置です。

親引け

読み: おやびけ
ざっくり一言: 「会社が指名した特定先への優先配分」

詳しい説明:
発行会社が指定した特定の相手(例:従業員持株会、取引先など)に対して、
IPO株を優先的に配分する仕組みです。
日本証券業協会の規則に基づき、

  • 親引けの対象
  • 株数
  • 継続所有に関する確約
    などが届出書に記載されます。

ポイント:

  • 親引けは、社内・関係者に株を持ってもらうことで企業と利害を揃えるという意味合いもあります。
  • 一方で、市場に流通する株数が減るので、需給に少し影響します。

開示・手続き系キーワード

有価証券届出書(新規公開時)

読み: ゆうかしょうけんとどけでしょ
ざっくり一言: 「IPOの“原本”となる法定開示書類」

詳しい説明:
企業がIPOを行う際に、金融商品取引法に基づいて金融庁に提出する詳細な開示書類です。

  • 会社概要
  • 事業内容
  • 財務情報
  • 募集・売出条件
  • ロックアップ・OAなどの特別記載事項
    がフルスペックで書かれています。

ポイント:

  • 目論見書はこの届出書をもとに作られます。
  • IPOを本気で分析する投資家は、まずここを読みます。

目論見書

読み: もくろみしょ
ざっくり一言: 「投資家向けに整えた説明資料」

詳しい説明:
有価証券届出書の内容をもとに、
投資家向けに読みやすく再構成した説明書です。

  • 証券会社が、IPOに申込む投資家に対して交付します。
  • 最近は電子交付(PDF等)が基本になっています。

ポイント:

  • 法律上、「投資家に交付すべき書類」として位置づけられています。
  • 内容の源泉はあくまで「有価証券届出書」です。

EDINET

読み: エディネット
ざっくり一言: 「金融庁の開示書類データベース」

詳しい説明:
金融庁が運営する、上場会社・IPO予定会社などの開示書類を公開するシステムです。

  • 有価証券届出書
  • 有価証券報告書
  • 四半期報告書
    などが誰でも無料で閲覧できます。

ポイント:

  • 上場前の会社でも、届出書が出たタイミングからEDINETで中身をチェックできます。

取締役会決議日/発行価格等決定日

読み: とりしまりやくかいけつぎび / はっこうかかくとうけっていび
ざっくり一言: 「いつ、誰が、どの条件を正式に決めたかという“日付”」

詳しい説明:

  • 取締役会決議日
    • どのくらいの株数を発行するか
    • 資本金への組入額をどうするか
      などを、会社の取締役会で正式に決めた日。
  • 発行価格等決定日
    • ブックビルディングを踏まえて、最終的な発行価格(公開価格)や引受価額を決定する日

ポイント:

  • 日付の前後関係を見ると、IPOスケジュールの全体像がつかめます(仮条件決定 → BB → 発行価格決定 → 上場)。